- 学名…Hakonechloa macra (Munro ex S.Moore) Makino ex Honda
- 和名…ウラハグサ(裏葉草)
- 別名…フウチソウ(風知草)
- 科名…イネ科
- 属名…ウラハグサ属
- 原産国…日本
- 草丈…20~30㎝
- 日照…半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:5 to 9
フウチソウとは
フウチソウは、日本に分布するイネ科ウラハグサ属の多年草です。
分布域は本州の太平洋沿岸地域、神奈川県から和歌山県に広がっており、谷沿いの岩の上などに群生しています。
フウチソウは日本固有種の植物で、また、ウラハグサ属に分類されているのは本種フウチソウのみとなっており、一属一種の植物となっています。
フウチソウの学名は「Hakonechloa macra」ですが、「Hakonechloa」とは「Hakone(箱根)」とギリシャ語の草を意味する「chloa」から成る合成語で、本種が箱根付近に多く自生していることに由来しています。
また種小名の「macra」はギリシャ語で「長い」という意味で、学名を直訳すると「箱根の長い草」という意味になります。
葉は茎の節に互生し、長さ10~20㎝程度の披針形です。
▼フウチソウの葉の様子(斑入り)
葉は茎に対している面を表、反対側を裏と呼びますが、一般的な植物では表側の方が色が濃く、裏側は白みを帯び薄い色をしています。
フウチソウはそれと反対で、表側は白みを帯び、裏側は鮮やかな緑色をしています。
▼フウチソウの葉の裏表
これはフウチソウの自生地の環境によるものです。
自然の中でフウチソウが生育している場所は、渓流沿いなどの岩場が多く、茎が枝垂れる環境にあります。
そのため、日に当たる葉裏が濃い緑色になり、下を向く表側が薄い色になっています。
「裏葉草(ウラハグサ)」の和名はこの性質に由来しています。
また、「風知草(フウチソウ」の名前は、しなやかな葉がわずかな風にもなびく風情ある草姿に由来しています。
基本種は緑葉ですが、斑入り品種や黄金葉品種があり、観賞用としてはこちらの方がよく植栽されます。
▼フウチソウの草姿
フウチソウの花期は8月~9月。
花期になると、葉の間から円錐状の花穂を出します。
花には花弁は無く、花序が変化した小穂(ショウスイ)が多数集まって、花穂を形成しています。
これはイネ科の植物に見られる花の構造です。
イネ科の植物は、花粉の運搬を風によって行うため、虫などを引き付ける必要が無く、花弁が退化して失われています。
▼フウチソウの花穂
耐寒性、耐暑性ともに優れており、育てやすい植物です。
美しい葉色を楽しむためには、ある程度の日照が必要ですが、強い日差しの下では夏場に葉焼けを起こすことがあります。
冬に地上部を枯らして宿根し、春に再び芽吹きます。
フウチソウの主な品種
キンウラハグサ(Hakonechloa macra ‘Aureola’)
葉に黄色い縞斑の入る品種で、観賞用として多く栽培されています。
オウゴンフウチソウ(Hakonechloa macra ‘All Gold’)
ライムグリーンの葉色が目に鮮やかな黄金葉品種です。
基本種のフウチソウよりやや小型です。
斑入りフウチソウ ‘フブキ’(Hakonechloa macra 'Fubuki')
葉に白い縞斑が入る品種です。
※環境によって白い斑の部分がピンクに染まります。
基本種のフウチソウよりやや小型です。
オーナメンタルグラス
フウチソウの他では以下のようなものがオーナメンタルグラスとして栽培されています。 大半はイネ科の植物ですが、一部キジカクシ科、カヤツリグサ科などの植物もあります。
フウチソウの育て方
栽培環境
強い直射日光が一日中当たるような場所では葉焼けを起こします。
午後から日陰になるような半日蔭の場所や、明るい日陰で育てて下さい。
庭植えでは落葉樹の下など、柔らかな日差しの差し込む場所に植えて下さい。
鉢植えの場合は、春は日向でも構いませんが、夏場は半日蔭の場所に移動します。
水はけの良い土壌を好みますが、乾燥しすぎるような場所でも葉焼けを起こしやすい性質なので注意して下さい。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性ともに優れており、特に対策の必要はありません。
冬になって地上部が枯れたら、地際からバッサリと刈り取って下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場の水切れには注意して下さい。
肥料
庭植えの場合は、肥料を施す必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、春の間に、固形の油粕などを株元に少量施します。
肥料が多すぎると、間延びした草姿になるので注意して下さい。
植え付け、植え替え
適期は2月~3月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土4などの配合土を使います。
生育旺盛で鉢の中で根がびっしりと張ります。
どちらの場合も、川砂を2~3割程度混ぜておくと、植え替えや株分けの作業が容易になります。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしやすいので、一年に一度、植え替えを行って下さい。
根鉢を崩して古い土を落とし、一回り大きな鉢に新しい用土で植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合も、株が増えすぎているようなら植え替えを行って下さい。
増やし方(株分け)
株分けで増やすことが出来ます。
株分け
適期は植え替え時の2~3月です。
掘り上げた株をハサミなどで切り分けて植え付けます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。