多年草・宿根草

パンパスグラス

  • 学名…Cortaderia selloana (Schult. et Schult.f.) Asch. et Graebn.
  • 和名…シロガネヨシ(白金葦)
  • 別名…シラカネヨシ(白金葦)
  • 科名…イネ科
  • 属名…シロガネヨシ属
  • 原産国…南アメリカ
  • 花色…白、ピンク
  • 草丈…1m~3m
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:8 to 10

パンパスグラスとは

パンパスグラスは、南アメリカ原産のイネ科シロガネヨシ属の多年草です。
分布域はアルゼンチン、ボリビア、ブラジル南部、チリ、パラグアイ、ウルグアイにあり、草原や河川沿い、森林の開けた場所など、日当たりの良い場所に自生しています。

美しい花穂と雄大な草姿から、1800年代後半のヴィクトリア時代に世界中に植栽され、現在では最も人気のある観賞用植物の一つとなっています。

「パンパスグラス(panpas grass)」の名前は、シロガネヨシ(Cortaderia selloana)の英名です。
「パンパ(Pampa)」とは、アルゼンチンを中心とする南米の広大な草原地帯のことで、パンパスグラスとは「南米の広大な草原に生える草」を意味します。

日本へは明治時代に渡来していますが、当時はあまり普及しませんでした。
大きく注目されるようになったのは戦後で、乾燥させて着色された花穂が、生け花の花材として用いられたことにより、一躍脚光を浴びることとなりました。


パンパスグラスの花期は9月~10月。
花期になると、地際から真っ直ぐに花茎を伸ばして花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は長さ30~100㎝の円錐形。

▼パンパスグラスの花序

花序は複数の穂状花序(すいじょうかじょ)が集まった複穂状花序です。

※穂状花序(すいじょかじょ)…主軸に花柄のない花が直接付く形の花序。
参照…花序の形-穂状花序

花序の最小単位を小穂(しょうすい)といいます。
パンパスグラスの小穂には2~5個の小花(しょうか)が付きます。

※小穂(しょうすい)…イネ科の花の最小単位となる集合体。
※小花(しょうか)…イネ科の個々の花。

▼パンパスグラスの小穂

雌雄異株で、雌株には雌花、雄株には雄花が付きます。
雌花には絹糸のような繊細な綿毛が付いています。
このため、雌花序は美しい光沢のある花穂となります。

花茎は高さ3mにも伸び、圧倒的な存在感を放ちます。
花穂の色は、白、ピンク。

▼パンパスグラスの花穂


葉は長さ50~200㎝、幅4~10㎜の細長い線形で、縁に細かい鋸歯があります。

▼パンパスグラスの葉の様子

花を咲かせながら草丈1m~3mに成長します。
草姿は同じイネ科のススキに似ています。
葉に斑の入る品種もあり、こちらは1m程度の草丈です。

▼大きく成長したパンパスグラス

耐寒性はあまり高くありませんが、大株になれば関東以南の地域での冬越しが可能です。
かなり大きく育つので植栽には広いスペースが必要ですが、美しい花穂は遠くからでもよく目立ち、存在感は抜群です。
大株になれば乾燥にもよく耐え、放任でも多数の花穂を立ち上げます。

オーナメンタルグラス

パンパスグラスの他では以下のようなものがオーナメンタルグラスとして栽培されています。
大半はイネ科の植物ですが、一部キジカクシ科、カヤツリグサ科などの植物もあります。

パンパスグラスの育て方

パンパスグラスの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日光を好むので、一年を通してよく日の当たる場所で育てて下さい。

矮性種であっても草丈1~2m程度に成長し、根もよく張ります。
鉢植えで育てることも可能ですが、根が十分に張れないため、花穂が少なくなったり貧弱な草姿になります。
可能であれば、広いスペースのある庭で育てて下さい。

冬越し

耐寒温度は-10℃程度ですが、元来が温かい地方の植物です。

枯れた葉は切り取らずそのままにして、冬越しをさせて下さい。
葉があることで霜や寒さから株を守ることが出来ます。
葉の切り戻しは春になってから行います。

寒さの厳しい地域では、晩秋に切り戻しを行って、株に防寒対策を施します。
株元を敷き藁などで保護し、ビニールで覆い、寒さから株を守ります。

水やり

根付けば降雨のみで大丈夫です。

肥料

よほどのやせ地でなければ、肥料を施す必要はありません。
やせ地で生育が悪い場合、または早く大きく育てたい場合は、春に骨粉入りの固形の油粕を株元にばらまきます。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は3月中旬~6月です。

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
大きく育つので株間は2m程度必要です。
矮性種の場合は50㎝~100㎝程度の間隔で植え付けます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。
矮性種と言っても大きく育つので、可能な限り大きな鉢に植えて下さい。

植え替え

適期は3月下旬~4月です。

鉢植えの場合は、一年に一度、植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。

庭植えの場合は、特に必要ありません。

増やし方(株分け、種まき)

株分けと種まきで増やすことが出来ます。

株分け

適期は植え替え時の3月下旬~4月です。
掘り上げた株をスコップ等で切り分けて植え付けて下さい。

種まき

種からも育てることが出来ますが、出穂までには3年程度かかります。
雌雄異株で美しい花穂を付けるのは雌株のみです。
苗の状態では雌雄の判断はできないので、何株か育てておいて方が無難です。

種まきの適期は4月中旬~5月です。
発芽温度は20℃前後です。

種は播種箱にまき、覆土は種が隠れる程度に3㎜程度。
水を切らさないように管理すれば2~4週間程度で発芽します。
発芽後、本葉が2~3枚程度になったらポット上げし、ポットに根が回ったら定植して下さい。

枯れ葉の刈り込み

冬になると葉が枯れますが、防寒のため葉はそのまま残しておきます。
新芽が伸び始める3月~4月頃に、バッサリと刈り込んで下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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