- 学名…Nassella、Stipa
- 和名…イトハネガヤ(Nassella tenuissima)
- 科名…イネ科
- 属名…ナセラ属、スティパ属
- 原産国…南北アメリカ、ヨーロッパ
- 草丈…草丈…30㎝~100㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:品種による
スティパとは
スティパは、南北アメリカやヨーロッパに分布するイネ科の多年草です。
その大半は雑草ですが、美しい穂を持ついくつかの種が観賞用として栽培されています。
ナチュラルガーデンの人気と共に近年急速に普及しつつあるオーナメンタルグラスです。
スティパの名前は旧学名が流通名として定着したものです。
かつてスティパ属には300種以上の種が分類されていましたが、その内約100種がナセラ属( Nassella )、約40種がハネガヤ属(Achnatherum)に分離されています。
そのため、「スティパ」の名前で流通している品種にはナセラ属とスティパ属、およびハネガヤ属の植物が混在しています。
※ハネガヤ属の植物は観賞用として流通することは稀です。
主に栽培されるのは、エンジェルヘアーとも呼ばれるナセラ・テヌイッシマ種(旧スティパ・テヌイッシマ:Nassella tenuissima)、大型のスティパ・ギガンティア種(Stipa gigantea)、やや小型のナセラ・トリコトマ種(旧スティパ・トリコトマ:Nassella trichotoma)などです。
ここでは「スティパ」の名前で流通している植物をナセラ属も含めスティパとして紹介しています。
スティパの花期は初夏~夏。
花期になると、伸びた茎の頂部に花序を出し、小さな花を多数穂状に付けます。
▼たくさんの穂を出したスティパ(テヌイッシマ)
花はイネ科特有の構造で花弁はなく、ウロコ状の苞葉の中に雄しべと雌しべが入っています。
▼スティパの花序の様子(テヌイッシマ)
穂の形は品種により異なりますが、独特の雰囲気を持っており存在感があります。
葉は細い線状で、株元からロゼット状に広がります。
細く繊細な葉は、穂の出ていない時期にも高い観賞価値があります。
常緑性と半常緑性の品種があります。
▼スティパ(テヌイッシマ)の冬の様子
適地で育てれば放任でも大株に育ち、たくさんの穂を立ち上げます。
スティパの主な品種
ナセラ・テヌイッシマ(スティパ・テヌイッシマ:Nassella tenuissima)
アメリカ南東部のニューメキシコ州からテキサス州、メキシコ、アルゼンチン、チリに分布するスティパです。
オーストラリアや南アフリカでは逸出したものが野生化しており、帰化植物として広く定着しています。
スティパを代表する品種で、園芸品種のエンジェルヘアー(Nassella tenuissima ‘Angel Hair’)、ポニーテール(Nassella tenuissima ‘Pony tail’)などが流通します。
▼スティパ・テヌイッシマ・ポニーテール
葉は幅1mm以下の線状で、穂は非常に長い芒(ノギ:麦などの穂に見られる針のような突起)を持っています。
穂を出して草丈25~70㎝程度に成長します。
糸のように細い葉が噴水のように広がり、穂は光に透き通り、風に美しくなびきます。
丈夫な性質で、こぼれ種でもよく生えてきます。
スティパ・ギガンティア(Stipa gigantea)
南ヨーロッパに分布するスティパです。
ギガンティアの名の通り、穂を出して草丈2m以上に成長します。
花穂は出始めは紫色をおびており、花後には黄金色に輝きます。
大型のオーナメンタルグラスで存在感は抜群ですが、日本において大きく育っている株は少ないようです。
自生地は乾燥した環境の地中海性気候の地域であるため、高温多湿の環境が合わないのかも知れません。
ナセラ・トリコトマ(スティパ・トリコトマ:Nassella trichotoma)
ブラジル南部、アルゼンチン、チリ、ペルー、ウルグアイに分布するスティパです。
草姿はテヌイッシマに酷似しており、一般的にやや小型で草丈20~70㎝程度に成長すると言われていますが、ほとんど見分けは付きません。
最も大きな違いは芒(ノギ)の長さで、テヌイッシマが5~9㎝と非常に長い芒を持つのに対し、本種は1.5~3.5㎝と短いのが特徴です。
オーナメンタルグラス
スティパの他では以下のようなものがオーナメンタルグラスとして栽培されています。 大半はイネ科の植物ですが、一部キジカクシ科、カヤツリグサ科などの植物もあります。
スティパの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
湿り気の多い環境は苦手な性質なので、風通しも良いと最適です。
冬越し、夏越し
冬越し
耐寒温度はテヌイッシマ、トリコトマで-16℃前後、ギガンティアで-20℃前後です。
根が凍結する心配がある場合は、敷き藁などで株元を覆い、凍結対策を施して下さい。
苗が小さい場合は根が地表近くに張っているので、凍結に気を付けて下さい。
枯れた葉は春になってから切り取ります。
夏越し
多湿の環境が苦手な性質で、長雨の時期に枯れてしまうことがあります。
鉢植えの場合は、梅雨の時期には軒下などの雨の避けられる場所に移動して下さい。
庭植えで葉が茂りすぎている場合は、バッサリと切り戻しを行います。
水やり
乾燥気味の環境を好みます。
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
過湿な環境が続くと根腐れを起こしやすいので注意して下さい。
肥料
やせ地でも育つ植物で、多くの肥料は必要ありません。
庭植えの場合は、生育に問題がなければ特に肥料を施す必要はありません。
鉢植えの場合は、春と秋に少量の緩効性化成肥料を株元に置き肥して下さい。
植え付け、植え替え
適期は春の3月中旬~4月、秋の9月~10月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
大株に育つので植え穴は大きめに掘って下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土6・腐葉土4などの配合土を使います。
植え替え
庭植えの場合は、生育に問題がなければ植え替えの必要はありません。
大株に育つと蒸れから中心部が枯れて来ることがあるので、その場合は株分けを行って植え直して下さい。
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしているようなら植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。
増やし方(株分け、種まき)
株分けと種まきで増やすことができます。
株分け
植え替え時に掘り上げた株を切り分けて植え付けて下さい。
種まき
花後にできた種を採取しておきます。
種まきの時期は春の3月~4月、秋の9月~10月です。
種はポットや播種箱に数粒ずつ撒き、覆土はしません。
発芽温度は20℃前後です。
発芽までは乾かさないように管理し、播種箱に蒔いた場合は葉が5~6枚程度になったらポット上げします。
1ヶ月ほどポットで育苗し、定植して下さい。
※秋まきの場合は、春になってから定植します。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。